和食店がひしめく街で刻んだ歳月
近鉄奈良駅の周辺は、半径800m以内に和食店が200店を超えるといわれる激戦区だ。その只中で60年以上暖簾を守ってきたのが、鍋屋町5に本店を置く久家である。日々味を追い求めてきた積み重ねが、この街での長さを支えている。奈良女子大にほど近い立地で、土曜の開店直後から客が続々と入り、多くが迷わずカツ丼を頼むという光景も知られている。
看板を張るカツ丼と、受け継がれた洋食
そのカツ丼は、大和ポークに生パン粉をふんわりまとわせ菜種油で揚げたカツが主役だ。グリーンファームから届く新鮮な卵を出汁でとろとろに仕立て、カツを包むように丼へ載せる。サクサクの衣とふわトロの卵が同時に押し寄せる一杯で、ランチでは半数以上の客が選ぶ。
洋食の顔も久家の特徴だ。洋食屋で修業した三代目のレシピを磨き、一晩寝かせて旨味を凝縮させたカレーは、エビフライカレーやカレーうどんとして供される。定食屋として始まった初代から代を重ねるごとに献立が広がってきた流れが、和洋の入り混じる今の品書きに表れている。
個室で味わう、形の決まらない会席
2階には和を基調とした個室が2部屋ある。椅子とテーブルを配したお座敷で、4名から利用でき、2部屋つなげれば最大16名まで貸切にできる。1室は茶室としても使える設えだ。ここで供される会席には固定の献立がない。予算と要望を聞き取り、量と質の兼ね合いや主賓への配慮、使いたい旬の食材まで踏まえて一席ずつ仕立てる。予約は前日まで、特別な仕入れを伴う場合は3日前までが目安になる。
街の外へも届く久家の味
店の外へは仕出しが届く。慶事・法事の会席膳、祝い事の松花堂、会議弁当、幕の内、寿司・オードブル、おせち、お食い初めの焼鯛まで揃え、配達や出張料理にも応じる。弁当コンテストで優秀賞を得た芳飯弁当は、五色の具を奈良産にこだわって盛り付けた品だ。仕出しの受付は平日10時から17時、土日祝は10時から15時。予約は2か月前から前日まで受け付けており、注文の重なる土日祝は早めの連絡がすすめられている。


